G17 日本大学薬学部
第208回|大麻規制と“ゾンビたばこ”から考える医薬品と乱用薬物の最近の状況について(WEB)
近年、医薬品あるいは医薬品と構造が類似した化合物の乱用が問題となっている。米国では合成オピオイドの過剰摂取による死亡が深刻な社会問題となっており、医薬品の有用性と乱用リスクの両面を理解することの重要性が改めて認識されている。また、一部のアジア地域では、日本では医薬品として承認されていない静脈麻酔薬エトミデートを、電子たばこ用リキッドに混入して吸引する乱用が若年層を中心に拡大した。吸引後に意識障害や痙攣様症状を呈することから「ゾンビたばこ」と称されるこの製品は、日本国内でも流通が確認され、2025年5月に指定薬物として規制された。一方、大麻については、2023年の法改正により大麻由来医薬品の医療利用への道が開かれた反面、同年には大麻関連事犯の検挙者数が覚醒剤事犯を上回り、若年層を中心とした乱用拡大が大きな課題となっている。さらに、「大麻グミ」に代表される大麻成分類似化合物を含有する製品の流通も問題となっており、国内の大麻を巡る動向は複雑化している。本来、乱用リスクを有する薬物の多くは、適正に使用されれば医療上有用な化合物であるが、誤った使用は健康被害のみならず、家族や社会にも深刻な影響を及ぼす。現在、インターネットを介した危険ドラッグの流通や若年層による大麻不正栽培、さらには市販薬(OTC薬)のオーバードーズ(過剰摂取)など、薬物乱用は誰もが直面し得る身近な脅威となっている。本講演では、これら最新の乱用薬物の動向と法規制の現状を概説するとともに、地域社会において薬物乱用防止に重要な役割を担う薬剤師が果たすべき役割について考察する。
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