【第264回スキルアップ】①患者さんによる健康食品・サプリメントの利用実態と薬剤師としての対応　②保健機能食品について正しく理解していますか？

要旨
①セルフケアに健康食品・サプリメント（以下、健康食品）の活用が謳われており、その利用も増えています。患者さんにおいても適切に健康食品を利用することで治療の助けになる可能性があります。しかしながら、これまでの調査から、多くの患者さんが主治医や薬剤師に相談せずに健康食品と医薬品を併用していたり、病気の治療目的に利用している方がいることが明らかとなっています。そのような状況では、副作用を増強させたり、病気を悪化させたりしてしまう可能性があります。思わぬ健康被害を避けるためには、医薬品を服用している患者さんには健康食品を利用させない事が原則ですが、その一方で、健康食品の利用が患者さんの治療へのモチベーションになっている場合もあり、一概に利用を否定してしまうと、患者さんは更に相談せずに利用する事になってしまいます。このような悪循環を避けるため、薬剤師としての対応が重要になってきます。

②セルフケアに健康食品・サプリメント、中でも国の表示制度に則った保健機能食品の活用が推奨されています。保健機能食品には特定保健用食品（通称：トクホ）、栄養機能食品、機能性表示食品の3つの食品があります。皆さんはこれらの名前は知っていると思いますが、それぞれの製品の特徴を正確に把握していますか？栄養機能食品ってなに？トクホと機能性表示食品、同じ関与成分が使われているものもありますが、その違いは？実は専門職（医師、薬剤師、管理栄養士）であってもその特徴を正しく理解していないという調査結果もあります。専門職ですら理解していないのですから消費者はなおさらです。製品の特徴を理解しなければ、いくら国の制度に則った製品であってもセルフケアに役立てることはできません。そこで、薬剤師として保健機能食品の特徴を理解し、患者さんから相談された際に答えられるようにしましょう。